2005年06月23日

彼の障害

彼の瞳は病院に向かう途中、私の手の中に落ちた。


キレイなキレイな濁りのない水晶体だった


目も開かないうちに無惨に捨てられた彼は


目が大きく腫れ、炎症をおこし


命と引き換えに眼球と視力を失った。



実家で飼っている愛猫、じろうは


盲目の猫。


その瞳は光を感じることすらできない。



当時は手のひらに乗るくらいの小さな小さな体で


目の変わりに大きく耳が発達していて、シッポも長く


大きく腫れた右目とくぼんだ左目は、


厚くて不気味な皮に覆われていた。


肉球と鼻まで全て真っ黒という、黒一色の珍しい猫。



障害をもろともせず彼は


家中を走り回り、飛び回る虫を捕まえ


階段を駆け上がり、大好きな母に甘え、


2階のベランダから脱走をしたり、盗み食いだってする。


目が見えないとは思えないくらいヤンチャで活発的だ。



彼の両目は9年経過した今もなお膿み続けている。


時折、血が滲み、その瞳に涙をいっぱいためている


医者からは、いずれ目から菌が侵入して


脳に回ってしまう危険があるだろうといわれた


その、血で滲む目をそっとぬぐってチュウをする


いつかまた苦しい時がじろを襲うのかな?と


考えただけでも胸がぎゅっと痛くなる


変われるものなら代わってあげたいよ


だけど私はその痛みにはきっと耐えられないだろうな


彼はやっぱり強い。




彼が伝える生命力の強さは


人間が吐くどんなキレイ事より説得力があって


弱っちい私に渇を入れてくれる


当の彼は障害を障害とも思ってないだろうし


人間のそんな思いだなんてお構いなしなんだろうけど。


横でスヤスヤ眠るじろを見て


人間より高い体温を持つその小さな体を抱きしめて


なんだか涙が出た。




彼の障害はもはや障害ではない。


自分よりはるかに小さな彼に励まされて


私も負けてられないなと思った。


じろに恥じない飼い主であるために


だらけきった情けない自分に


デッカイ渇を入れなくちゃと思った。

posted by モミ at 02:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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